遊び疲れて腹がへった。寒さがこたえる節分、赤い暖簾をくぐる。いつもの席で、いつもの注文。
女主人。注文を受け止め、目だけあったその後、今どき口角を上げないどころか、顔面の筋肉を一つも動かさずに麺をゆではじめる。五十七種類あるともいわれている表情筋を一つもだ。そう、いま僕はラーメンを食べさせていただくのであって、神様なんかでは決してないのだ。

あれ、いつもおかあさんひとりなのに、今日はもうひとり。御主人かな?ひょっとしていつも以上に張りつめたこの空気、小さいケンカでもしたんかな?…などと注文が出てくる間妄想していたら、声を聴いて女性の同僚だと気付く。その“元御主人”、話していない間は絶えず咳をしている。マスクなどもちろんなしだ。ゴホゴホ言いながらねこ背でチャーシューの紐縛ってる。最高にRockだ。今日はチャーシューめんにしなけりゃよかったぜ。

しかしながら別れ際の「ありがとー」が可愛い。二回も言ってくれる。きっと近いうち、ついまた足を運んでしまうのだろう。Content is King.